第1回新PSG睡眠塾 参加記(1)

  2010年6月19日と20日に大阪でPSGに関する研究会なるものが開催されると聞いたのは、まだ赴任して1ヶ月しか経っていない職場で、指導医である札幌山の上病院の野中先生からでした。  

  野中先生曰く、「大阪でPSGの勉強会が6月にあるけど行く?12月には札幌でやりたいらしいから、違口先生に任せていい?今度の東京の神経学会で紹介するから」って言われても…PSGなんて学生時代にUSMLE (United States Medical Licensing Examination) のstep1を勉強中にちょこっと1行くらいそういう検査があるで〜って出てきたくらいで、自分のこれまでの臨床での仕事ではほとんどorderしたこともないのに…う〜ん、行ってもついていけるかな?みたいな不安を覚えつつ、申し込みしようとしてOSHNetのホームページを見たら「締め切りました」…って、なんでやねん!早すぎるわ!と思っていたらすでに同じ病院から行く予定になっていた田中技師が申しこんでくれていて参加することができました。ありがとうございました。

 6月の大阪は想像していた通り蒸し暑く、不快指数は80を超えているんじゃあないかと思うほど暑かったです。朝4時に起きて始発の電車で手稲から新千歳空港まで始発の電車に乗って行くまでは良かったものの、神戸に着いてからが大変。電車乗り換えるにしても週末であったせいか、やたらと人が多く阪急3番街でカピバラさん祭にたどり着くまで2Lくらい汗かいたような気がしました。

  開催会場に着いたのは午後2時過ぎで、コスモスクエアからバスに乗って5分くらいの場所にある国際交流センター。最初入り口が分からなくてウロウロしていましたが、なんとか会場に着いたら既に、業者の方々もスタンバっていて…ああ…これからガチで勉強するんやな〜…と少し緊張しながら一番後ろの席に着きました。

 まず最初に立花先生から今回の勉強会を開催するにあたっての説明がありました。PSGに関するまとまった勉強会はこれまでに色々開催されてきましたが、そのどれもがsystematicではなく、あくまで関わる人の専門性が色濃くなってしまいプレゼンテーションの内容が私のような初学者にとっては難しいものであり、継続して勉強するには精神的にも体力的にも厳しいようでした。

 しかし、今年度から開催される新PSG睡眠塾はあくまで大まかな全体像を掴み、それぞれの医療従事者がお互いの知恵を出し合い、今PSGの何が問題なのかを具体的にそれぞれの体験例を出しながらどうすればPSGを現場でより良く生かすことができるかを考える集会であることが、他の研究会などと比較して非常に興味深いと思いました。
 
  自験例として初めてPSGを実施したのは、末梢性の運動感覚神経障害で入院してきたOSASの例で、たまたま入院した当日の夜に、病棟中に響きわたるいびきをかいて、他患者の目を全員覚まさせたという事例(件?)があり、おそるおそる終夜SpO2モニターとPSGを施行すると技師の田中さんから「ほとんど眠れていないですね〜AHIも63だし…CPAP導入した方が良いですよ」とコメントを頂き、考える間もなく初めてCPAP治療を始めたことでした。検査・治療において技師さんの持つ技量に驚かされた一例でした。

 PSG実施後の結果の解釈については、正直あまりよく分からないまま終わってしまい、自学自習によるしかないのはよく分かりました。CPAP導入後の技師さんの役割については東京都立松沢病院の小林さんからの説明があったように、どのようにすれば導入後の患者のコンプライアンスを高い状態で維持できるかが焦点でしたが、それぞれの施設ごとに色々工夫されているのが良く分かりました。

 しかし、技士さんの持つ通常の業務に加え、マンパワー的に頭数が足りていない施設では、誰がその実施を行うのかは切実な問題だと思いました。実際山の上病院では生理検査の検査技師が4人で、その中で日常業務を回さなければならない状況で、これから徐々にCPAPを導入していくことになると、外来が溢れてしまい、CPAPだけを外来で行うには現実的には厳しい…というのはどこの施設でも同じなのだなあと思いました。

 実際多くの医師はCPAPの患者だけを診ているわけではなく、診療経過中に偶々SASが見つかり片手間でやっているのがほとんどではないでしょうか?忙しい業務の中でモチベーションを高く持ちながら継続していくには、一人だけでは中々辛いものがあると思います。そういう意味で他の施設の人達から体験例や専門家の知識を提供してくれた今回のPSG睡眠塾では、PSGとは何かという問いかけに対して全体像を理解するには有意義な時間を過ごすことができて良かったと思いました。
  札幌山の上病院 神経内科 違口 正明 記 

 

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第1回新PSG睡眠塾 参加記(2)

 2010年2月、研修医で走りまわっていた頃、(現在神経内科医師に昇格したが、いまも走り回っていることは変わらない)当院の上司である立花医師より今回の睡眠塾の話を聞いた。「村上君、私らすごいおもしろいことするねん、けえへん?」内容も全くわからないまま、迫力に圧倒されてすぐに行きますと答えてしまった。後からうかがうと、睡眠合宿を開催するということであった。睡眠合宿といわれてもすぐにはピンとこなかった。脳波の勉強をしていたのでPSGにはもともと興味はあった。睡眠合宿というからには泊まりがけでだれかのPSGを行ってそれを解析するのだろうか、それとも睡眠にまつわる修行でもするのであろうかと返事をしたその夜、頭から離れず眠れなかった。

 翌日、改めてその内容について不安になり立花医師に確認した。PSGに関係する人たち(職種を問わないのがウリ)を集めてPSGの知識を深めあうこと、語りあうこと、学びあうことを目標としている勉強会だよとのことであった。しかしながら、参加するにあたってまた不安がよぎった。そもそもPSGって何だということである。まず不勉強な私の場合はそこから始まる。脳波はちょびっと読めるようになった(気がする)が、PSGはどういう疾患を疑う場合に行って、どんなことをして、どんなふうに解析をして、どういう恩恵があって...うーんよくわからない。というか知らない。こんな状態で参加して学びあえても語り合うこと、ましてやディスカッションなんてできるのだろうかと思った。また不眠の夜が到来しそうである。その不安げな顔をみて立花医師はすべてを察知したのであろうか?PSG合宿に行く前に1回は読んでおきなさいと1冊の本をお借りした。それが「PSGをより深く知りたい人の睡眠塾-基礎編-OSHNet編」である。それをなんとかむさぼるように(ごめんなさい読んだのは1回だけです)読み込んでからPSG塾に参加した。

 そして6月19日、第1日目を迎えた。内容としてはPSGをいかに睡眠医療に生かしていくかということを目標にしており、職種関係なしに学びあうことの重要性を感じた。医師は検査をオーダーして終了、紙に出てくるのをみるだけ(という人はいないとは思うが)ではどれだけ危ういかを一番学べた気がする。PSGをきっちりとれていますか、PSGを正しく評価できていますか、そしてその情報を患者に生かせていますかということが問われていたと思う。これは自分の守備範囲だけを日々の業務としてしゅくしゅくと行うのではなく、まるで鳥のように上から全体を見渡しましょうということが必要となる。そのためにいろんな業種の人と語り合うというのはessential だと思った。もちろんもっと深い内容だったけれどそれを文体にうまく表せないのが自分のぶきっちょなところです。

 オランダ戦に熱狂した翌日、頑張る気力は残されていなかったというのは事実だが、PSG記録の際に必要なME知識は特に興味深かった。脳波はいつもアーチファクトとの戦いだとはいうが、長時間計測し、さまざまなセンサーをとりつけるPSGではなおさらのことである。検査が評価に値するかどうかに関わるため大切だということはわかったがそれ以降あまり記憶がない。決して寝ていたわけではない。ただ記憶がない。おそらく理解困難であったのであろう。

 このように二日間が怒涛の如く私に押し寄せ、なにかすがすがしい思いで合宿が終了した。「PSGをより深く知りたい人の睡眠塾-基礎編-OSHNet編」をもう一度読んでから参加した方が良かった気もするが1回は読んでおいて助かった。しかしながらこのような機会を与えていただいて、本当に感謝している。神経内科の新米であるが、興味深い内容だった。専門が固まる前にこういう機会が与えられたのは良いことだと思った。次の機会があればぜひまた受講したいと思います。今度こそもっとディスカッションに加わります!
  関西電力病院 神経内科 村上永尚 記 
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