第5回新PSG睡眠塾(広島) 参加記

 奈良医療センター呼吸器内科で勤務しています,田中小百合と申します.今回初めて,睡眠塾に参加して,参加記を書かせていただくことになりました.
 私は,呼吸器内科に入局後12年となります.睡眠医療にかかわるきっかけとなったのは,大学病院の研修医の時です.大学でPSG検査を行うようになり,私もそのお手伝いをさせていただいたことがきっかけでした.その当時は PSG検査もはじまったばかりで,何もわからないまま,SAS疑いの患者さんに電極をつけて一晩記録して,解析を教えてもらいながらしていました.それから,今の奈良医療センターに移り,SASが疑われる患者さんにPSG検査をおこない,主にCPAP治療とその管理をしてきました.PSG検査の件数が増えてくるにつれ,いろいろな患者さんに検査を行うようになり,自分で本を読んでいるだけではどうしてもわからないところが多数出てきます.また,睡眠は,精神科や神経科の知識がなければ理解できないところがあり,そういった知識を一から一人で身につけていくことは不可能です.そこで,これまで日本の睡眠医療を引っ張って,多くの人を教育してこられた立花先生たちのNPO法人が主催する新睡眠塾に参加させていただきました.
 まず,1日目は,10時から19時まで休憩時間もそこそこに,医師とRPSTGによる内容の濃い講義でした.1時間目は,立花先生の「睡眠医学における共通言語としてのPSGの位置づけ」という内容でした.睡眠医学は始まってから,100年たっていない新しい学問だということ.日本でも睡眠の研究は行われていましたが,CPAP開発とPSGの保険適応が,これまで精神科,神経科中心だった睡眠医学の流れを大きく変えたことを感じました.PSGは,睡眠障害の診療に必要な検査ですが,PSGイコールSASの検査と思われているところがまだまだあります.SASは,睡眠障害の患者さんの中で最も多い疾患ですが,睡眠障害はSASだけでないことをもっと伝えねばと思いました.
 続いて,「睡眠診療における簡易呼吸モニター その利用方法と注意点」についてRPSTGの野々上先生の講義がありました.簡易呼吸モニターはPSGをきっちり理解することではじめて有用となる.単純にAHIだけ見るのではなく,どういう基準で低呼吸を判定したのかによって,AHIも変わってくること,無呼吸がありえない長さで自動解析された場合は,必ず生データをみて確認することが大事と教えられました.
 3時間目の徳永呼吸睡眠クリニックの徳永先生の講義は,同じ呼吸器内科の私にとっては,とても興味深いものでした.SASの治療のスタンダードは,CPAPですが,CPAPをはじめとするPAP療法(CPAP, Bilevel PAP, ASV)について呼吸生理の入門(呼吸とは何か)から,実際のCPAP機器の仕組み,CPAP機器の中がどうなっているのか,解体した写真もみせていただきました.同じCPAPでもメーカーによって圧の上がり方が異なるという,今まで全くブラックボックスになっていたCPAPの仕掛けを明らかに講義してくださり,大変おもしろく聞かせていただきました.また,先生は会場のすぐ下の2階でクリニックを開業されていて,2日目には,クリニックの見学もさせていただきました.

 1日目には睡眠医学の勉強の仕方,PSGの生データを見てグループでディスカッションを行う実習もありました.
 1日目の夜は,懇親会もあり,それぞれ異なった現場,立場の人たちが睡眠医療に真剣に取り組んでいることがよくわかりました.懇親会の場では,立花先生や,谷口先生,三上先生ともお話できました.このようにすごい先生と気軽に(?)お話できるのは,OSHNetならではと思います.(学会ではなかなかありえないのではないでしょうか.)
 普段会うことのない,睡眠に従事している医療従事者の方々とお話することで,睡眠医療のおもしろさ,奥深さを知らされ,また同じ悩みをもっていることもわかりました.
 2日目は,午前中のみでした.立花先生の睡眠中の運動行動異常の見方,同じPSGでもSASとRBDでは,全くやり方が違うことがわかりました.RDBの実際の患者さんのビデオを見て,行動異常とはどんなものか知ることができました.
 最後は九州大学の津田先生に歯科医の立場から,SASの治療としてのOAの有用性,どんな方にOAが適応になるのかをわかりやすく講義していただきました.
 2日間の内容は本当に盛りだくさんで,睡眠の診療といっても大変奥が深いと思いました.2日間でPSGのこと,CPAPのこと,OAのことその他の睡眠障害のことなどたくさん教えていただきました.睡眠医療はまだまだ緒についたばかりと思います.
 私もその一端のお手伝いをさせていただき,今回教えていただいたことを少しでも患者さんに還元していきたいと思います.
  奈良医療センター 呼吸器内科  田中小百合 
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