2008年 日本睡眠学会参加印象記

 初めて参加、ポスターをだした、ボルチモアでのSleep2008で立花先生と昼食をしながら、世間話をしたのが、運悪く(?)今回の記事を書くハメになりました。Sleep2008から10日後の6月25-26日に福島県郡山市で行われた日本睡眠学会に参加してきました。

<睡眠解析のこれからを考える>
 杉田先生のPSG R&K判定法の問題点のoverviewが、要点よくまとまった話で、面白かった。今まで、断片的には聞いていた話があり、改めて思った。 
 
<PSG標準化に向けて>
  日本睡眠学会が、AASM方式を採用するスタンス?しないスタンス?が不明瞭であった。今後の検討課題でいつも終わるのだが。2007年のAASM新ルールの問題点の指摘は、見事なのですが、ジャ-日本独自にやっても世界への情報発信ということまではできるのか??結局米国追従しないと、進まないし、進めない。

<MSLTを用いたナルコレプシーの保険診療>
 リタリン処方登録医(=即ちナルコレプシー診療可能医師が3600人!!)、日本睡眠学会認定医が400人弱、この差は何なんでしょう?
 USでは、ナルコレプシーのプロトコールに薬物血中濃度測定が入っていることに驚いた。MSLTは当然ながらルーチンで行われているが、MWTは運用、判定の問題もあり、ほとんど施行されていない、とのことでした。MSLTの技術的方法など詳細な議論を期待したが、MSLTとは何か?という段階でした。今年中にナルコレプシーのガイドラインがでるそうで、そこにはMSLTがどう位置づけられるかが明確になりそうです。自分としては、ナルコレプシーの補助診断としてのMSLTは、理解できるのですが、はたして、Narcolepsy without cataplexy、Idiopathic hypersomnia でのMSLTの位置づけをガイドラインにどう盛り込むのか、興味があります。ICSD-2通りでは、なぜいけないのでしょうか? 疑問に思いました。(今回、こんな変なことを書いたのは、回生病院の谷口先生に私のポスター発表でかなりのご指摘をいただき、刺激をうけたからです。結論はもっとOSHNet勉強会に参加しろ、とのことです。新大阪で勉強会するならいきますぜ。その後、足立先生には癒されました。)
 
 結局米国から現場を知るRPGSTやMD(最低American Board of Sleep Medicineの試験に通っている専門医)のオーソリティをつれてきて、PSG、MSLTのことを聞かないとフラストレーションたまるばかりでは。

 <総会出席>
 会員が2600人と増加したとのこと。でも毎年300人入会し、100人退会という、入れ替わりが激しいなあと感じました。医師は1100人、呼吸器科医は3%とのこと。この計算では、ほとんどのSASは睡眠学会とは無縁な呼吸器科医、または呼吸器学会とは無縁な睡眠学会医で診療されていることがわかりました。
 今回、私も認定医もらえそうで、一応の区切りがつきました。今後、認定医受験資格は論文よりも実務経験を重視するようで、認定技師受験資格は2-3年の実務経験が必要になりそうです。また年会費は1万円に値上げされるとのことです。

 <SAS関係>
 全般的に演題数が少なくなっていた感じです。昨年から盛り上がったComplex SASの存在または意義自体へのConの演題が多かったです。ランチョンで新潟の中山先生が要領よく解説され、Complex SASもこれで一丁あがりといえるでしょう。

<全体的>
 昨年の睡眠学会が11月であったこと、Sleep2008が6月にあったこと、産業衛生学会が北海道であったこと、福島という地域の関係上などから参加者は少ないのではなかったかなと思いました。特に関西からの参加が少ないようでした。


(写真;ポスター会場)

 これからのトレンドは何かと不埒な考えをもちながら、新幹線を4時間乗って23時に帰宅しました。疲れた。
 頑張って翌日、人生最初で、日本で実施されるものとしてはおそらく最終のRPGSTの試験うけました。実質3日ほどの試験勉強しかしなかったせいか、ナンダ、これは、という試験でした。まだ睡眠学会認定医試験の方が、マシな問題かな? 2008年の6月は忙しかった。ほとんど病院にいなかった。今後もいろいろな観点から睡眠医学を学んでいく機会をもてたらと思っています。

岐阜赤十字病院 呼吸器内科 スリープセンター 田中 春仁

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