第4回 Sleep Symposium in Kansai(SSK) Sleep course参加記

 皆様、こんにちは。京谷クリニック臨床検査技師の中内です。この度第4回SSKの参加記を書くに当たり、ひとりだと心細かったので、京谷先生に茶々を入れていただきました。書いてみるとなんだかわたしが先生を苛めているみたいな感じになってしまいましたが、そんなことはありませんので、悪しからず(笑)

 8月2日、早朝7時30分伊丹発の飛行機で熊本入りした京谷クリニックスタッフ一同は、普段活動しない時間帯にふらふらしながら、なんとか会場に辿り着きました。ポスターセッションがあるため、京谷先生以外は皆一応スーツを着込んでいましたが、目覚めきっていない頭は完全に翌日の阿蘇・熊本観光に思いを馳せていました。今回のSSKは、京谷クリニックでの社員旅行も兼ねていたわけです。
 それでも、一歩会場に足を踏み入れたとき、わたしは思い出しました。今回のSSKで、わたしにはひとつの大きな(?)目的があったのです。それは、京谷先生に、RBDの方用のビデオカメラを買う決心をしていただくこと!
 ここで京谷クリニックの現状をお話しますと、PSGの解析画面に取り込む用のビデオはあるのですが、今回のSleep courseでもあったとおり、解析画面に取り込むため容量の関係で画質も悪く、コマ送り状態なので、拡大して目を凝らしてもイマイチ分かりづらい。RWAの判定だけでは不安が残るので、どうしても実際に動いている箇所を拾いたかったということもあり、何度も再生しなおしたり、自分が夜勤のときは、仮眠時間を使ってノートパソコン片手にこっそり患者さんの部屋に入って波形を見ながら目を凝らし、耳を澄ませていたり(いろんな意味でお勧めはできない方法です)、そんな感じで乗り切っていたのですが、これまで3ヶ月に1人いるかいないかだったRBD疑いの方のPSGが、ここ2ヶ月は週に3人も珍しくない状態で、わたしの眼精疲労も限界に達していました。一度、ビデオカメラが欲しいと京谷先生に訴えた際、返ってきた答えが「誰か持ってへん?」という・・・スタッフ全員がしらけた視線を送ったというのが、最近の話でしたね。

京谷:そ、それは誤解やぁ。そこまで貧乏ちゃうで。
中内:先生は財布の紐が固いというか、石橋を叩いて渡るタイプなんですよね、 意外と(笑)

 そんなこんなで、それぞれの思惑を胸に、わたしたちは少し遅れて席に着きました。
 前半のSleep courseは、関西電力病院睡眠関連疾患センターの立花先生と丸本さんによる、まさにその「夜間行動異常を示す患者に対するPSG-videoモニター」についての発表でした。これまで、実際に見てきたRBDやてんかんの患者さんで、そこまで危険な暴れ方をする方はいなかった(怒鳴ったり、手を動かしたりする程度の方が多い)と思うのですが、凄まじく俊敏な動作でラジオを投げ飛ばすRBDの患者さんの映像をはじめ、わたしたちは今まで運が良かっただけなのかもと、ひやりとするような映像が沢山提示されました。

 患者さんの危険もさることながら、スタッフにも危険が及ぶ可能性については今まで考えていなかったことなので、立花先生の「命懸け」という言葉に、自分たちの甘さを痛感しました。

京谷:こりゃヘルメットと盾も買わなあかんかなぁ。
中内:実はそれちょっとだけ思いました。盾は・・・枕とかじゃだめかな。

 また、実際にRBDのPSGをしっかりやろうと思うと、ポイントは介入するタイミングなんじゃないかと思っていたので、それに関する質問が出たときは、「やはり気になるところはどの施設でも同じなんだなぁ」と、心強い気持ちになりました。
 それとは別に、アメリカでの映像ではあんなに激しい動きをするRBDが沢山記録されているのに、わたしは実際には危険な暴れ方を殆ど見たことが無い(勿論、症例数が少ないのだろうとは思いますが)というのは、日本とアメリカの文化的な違いもあるのかなと考えたりすると面白かったです。

 Sleep courseの後半は、「CPAP titrationの実際」でした。何人かの担当者による理論から実践まで分かれての講義であり、中でも大阪回生病院睡眠医療センターの杉田さんによるattended titrationの話が役に立ちました。大阪回生病院は、何度か見学させていただいたことがありますが、技術的なことは勿論、マンパワーを含めて充実した環境には目を見張るものがあり、その理想形の中から、わたしたちには何が出来るのかということを模索していく必要があると感じていました。



 今回の杉田さんのお話の中で、attendedであることの醍醐味、here and nowを改めて感じることができました。臨床検査技師にとって、治療に関わることができるジャンルというのはそう多くありません。titrationを行う上でも、AHIを下げることだけに固執するのではなく、これから在宅でCPAPを使い続けていかなければならない患者さんに対して、説明や装着の時間から気を配り、信頼関係を築いていく必要があると感じました。PSGやCPAPに関することは勿論ですが、装着時や毎月の外来時での患者さんとの雑談にもそのヒントが隠されているのではないかと思いました。

京谷:タイトレーションは難しいよなぁ。CSAに気がつかんと、とんとん圧を上げて いったらお手上げになるという話もあったねぇ。インスリンを間違えて10倍打ったら元の量に戻してもあかんっていうのと同じやねぇ。
中内:同じなんですか?それ。

 また、京谷クリニックでは、titrationのできない非常勤技師と交代する時間があり、attendedでのメリットと、unattendedでのデメリット両方を実感しています。わたしたちの今後の展望としては、非常勤技師の子たちに、この醍醐味を感じてもらい、積極的に個々の技術を高めていくことで、full attendedに限りなく近い状態が作れるのではないか、ということです。今まで、経験の浅いわたしが指導する側にまわるということに対するジレンマのようなものがあったのですが、まずはattendすることが圧倒的に面白い、ということを伝えることからはじめてみようと思います。これなら、わたしでもできるかな、と。

京谷:確かに、attendedはおもろい。患者さんを治してるって実感できるもんね。診察では、いつもいらんこと言うて患者さんを苦しめてるもんなぁ。
中内:身体的なアプローチができる治療の方が、いろんな意味で気が楽かもしれないですよね。

 さて、充実した講演が終わり、わたしたちは熊本市街に繰り出しました。熊本の友達に、「死ぬほど暑いよ」と散々脅されていたわりには涼しい宵の口、居酒屋で郷土料理に舌鼓を打ちつつ、わたしは熊本での最後の仕事として、京谷先生に止めを刺しました。「丸本さんは、『京谷先生のために』ビデオモニターについての発表をしてくれたらしいですよ」と、耳打ち(実は事前に、丸本さんに「京谷先生がビデオを買いたくなるような発表にしてください」と、ご迷惑にも程があるお願いをしていました)。
 さぁ、京谷先生、ご決断を!

京谷:よっしゃ、ええビデオ買うて君らの寝顔を写してまわろ。
中内:変態!
京谷:とにかく熊本は面白かったなぁ。来年もみんなで熊本いこな。
中内:楽しかったですね♪でも、来年は神戸ですよ!

京谷クリニック 中内緑・京谷京子記

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