第2回Osaka Sleep Health Network講演会に参加して

 第2回 Osaka Sleep Health Network講演会はPhyllis C Zee先生をお迎えして行われた。筆者はOSHNetの会員であるが、睡眠を専門にする者ではなく、神経心理学、老年精神医学を専門にする者である。そのため、Zee先生がされている研究の内容に直接触れるのは今回が初めてであった。そういった立場での感想である。

 講演のテーマは「Circadian rhythm sleep disorder」についてであった。概日リズム睡眠障害について、光が及ぼす影響・メラトニンが及ぼす影響・分子生物学な問題・治療・症例提示を、前進型・後退型に分けて、初心者の筆者にも理解可能なほど非常にわかりやすく講演いただいた。(講演前の筆者の知識は、後退型人は朝に光をあびたらよいという程度であった。)

 講演全体の中では、「概日リズム」は分子レベル発生し制御されており、既に関連遺伝子も発見されているとういことが、一番の驚きであった。基礎的な知識として、「前進型では、最低体温、メラトニン分泌の増加時期が前に移行しており、そのため早く眠くなり、早朝に覚醒し以降眠れず、日中眠い。治療は睡眠前7時間にメラトニンを服用する。後退型では午前2〜4時まで眠れず朝起きれない。活力が低くDepressionと診断されている例も多い。最低体温、メラトニン分泌の増加時期が後ろに移行している。治療は朝1〜3時間1000〜10000Luxの光を浴びる。」といったことが、実際の症例を提示しながら説明された。また随所に、概日リズム睡眠障害には、感情障害を中心とした精神疾患の合併が示唆される例があることが説明されていた。

 個人的には日々の診療でDementiaの患者さんの概日リズムの障害を診ることが多いため、irregular sleep wake cycleはAlzheimer's disease的で神経変性疾患が起こっている可能性があること。Alzheimer's diseaseにはメラトニンより光療法の方が有効であるという話題が興味深かった。時間が許せばdementiaを発症してから、昼夜逆転しやすくなったり、夜間せん妄をおこしやすかったり、夜間徘徊が目立つ症例は、発症前から「概日リズム睡眠障害」とまではいわなくとも、「概日リズム障害」の傾向があった可能性は大きいのか?お聞きしたかった。

 前日に参加を決めたのだが、頭の中がすっきり整理されて気持ちよく会場を後にした。そして、ホテルのエスカレーターに乗りながら、明日病院に出勤したら、まず計120床(2病棟)もある認知症治療病棟へ行って、朝7〜9時に患者さんが光を浴びれる環境を作ってもらえないか、看護師長に相談しようと心に決めた。

浅香山病院 精神科・認知症センター   釜江和恵 記

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