第4回OSHNet講演会参加体験記―Sonia Ancoli-Israel博士の講演に参加して:OSHNetに期待するもの

 まず、今回の講演会に参加することになったいきさつについて触れたい。私は看護師であり、大学教員でもある。認知症の患者さんに恩恵のあるケアを少しでも形にするために、OSHNet会員でもある浅香山病院の釜江先生と共に共同研究を始めてもう4年になる。現在は、取ったデータを成果として世に送り出す作業をしている。このときも論文執筆のため夜間の認知症患者の睡眠についての文献を読み漁っていたところであった。

 そこへ釜江先生より講演会のお誘いがあった。演者をみるとProfessor Sonia Ancoli-Israelとのこと。最近ずっと読んでいる文献のほとんどは、Ancoli-Israel氏の論文ばかりであったので、早速スリープアソシエイツになり、研究室のメンバーと共に、まるで遠足の前日かのように楽しみにしていた。

 講演タイトルは「The impact of sleep breathing disorders on the elderly with cognitive impairment」主にアルツハイマー病患者に対するCPAPの効果について、ご自身の研究の成果をお話された。

 講演の内容は非常に興味深かったことは言うまでもないが、一番印象に残ったことは、立花先生がコーディネートして進んだディスカッションの時間である。Ancoli-Israel氏のお話の仕方、質問に対する回答など、とてもソフトな雰囲気で、非常に高名な研究者であるのにも関わらず、気軽な雰囲気のディスカッションであった。さらに驚いたことには、睡眠研究の第1人者の最新の研究について、研究におけるデータの取り方や実際に困難であったことなど、学会などでは聞けないことを聞くことができる機会があったことだ。貴重な時間であり、会のレベルの高さを実感した。

 講演会に参加している人について言及すると、睡眠を主に専門にしている医師や検査技師の発言は目立ったが、看護師や実際のケアに携わる職種はどのくらいいるのかが気になった。

 講演会でも話題になったCPAPは認知機能の低下があるSAS患者に対しても有効な治療法であるのなら、私の立場で、次に考えることは、効果が検証された方法をどのように臨床現場に浸透させるか、である。

 良いとされている治療方法は多いが、それは学術論文の段階であることが多い。良いものを一般化することが、患者さんに近い立場の看護師やケアスタッフの大きな役割のように思える。特に、認知症ケアでは、認知症でない人であれば簡単にできる検査や治療に、独自の工夫が必要である場合が多いからだ。この工夫は多職種で考えていく必要がある。

 今回のCPAPを認知症患者に治療をフォローも含めて、看ていく立場の看護職(ケアスタッフ)の発言、CPAPの効果を現実的に利用しようという気持ち(ほとんどはあきらめのような感じである)そこを掘り下げて考えられるような機会があればと思った。これはOSHNetに期待するものといえるが、多くの患者に恩恵があるようにするには、知識の取得だけでは不可能である。現場の人が治療法のノウハウも含めて検討していくような場があれば非常にありがたいと思う。

大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 山川みやえ 記

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