「お互いに学びあう場」から「教えていただく場」へ

 睡眠学会に入会したのは随分前になるのですが、ここ10年程は睡眠障害以外の臨床の忙しさを言い訳に、殆どまともに学会参加をしておりませんでした。久し振りの感想ですので、随分的外れもあるとは思いますが、ご容赦ください。
 今回の学会は、睡眠学会と時間生物学会の合同開催として2007年11月7日から9日までの3日間、新宿の京王プラザホテルで開かれました。おおむね前半が時間生物学会、後半が睡眠学会という構成であったようです。  
 久し振りに真面目に学会に参加してみて、いろいろ驚くことがありました。こちらも久し振りの新宿の街でのとまどいと併せて、冬眠しかけていた私の脳もすっかり覚醒してしまいました。  
 第一の驚きは、会場にあふれる参加者の数です。特に初日のシンポジウム会場は、立ち見であふれておりました。会場は、定員120人ほどの部屋でした。日本睡眠学会認定医・認定歯科医・認定検査技師の更新のため、あるいは日本精神神経学会の専門医の更新のために参加者数が増えたのかどうかは不明ですが、いずれにしても会場の面積に対して参加者が多すぎたことはまちがいありません。ポスター会場も同様で、なかなかの盛況でしたが、こちらは機器展示場のスペースが相対的に広かったせいもあるようです。機器展示場には「足の裏ブルブルマシン」もあって、疲れた足を休めることもできました。いずれにせよありがたいことです。
 第二の驚きは、一般口演がなかったことです。  
 一般演題がすべてポスターセッションであったのは、今回の特徴なのかそれとも最近のトレンドなのかわかりませんが、寂しいことではあります。ポスターは、時間生物学会が61、睡眠学会が294、合計で355という大した数でした。きっちり見てまわれば大変勉強になったのでしょうが、自分のポスターの前にいることが多かったことと、ポスター会場が満員で通りにくかったこともあり、じっくり読ませていただくことはできませんでした。しかしそのせいで、一般口演を聞いていた頃のように、「不要な」知識が耳に入ってくることもなく、まことにありがたいことでした。  
 第三の驚きは、シンポジウムの多さです。今回の学会では、初日に4つ、二日目と三日目はそれぞれ6つずつ全部で16のシンポジウムが組まれていました。シンポジウムのいくつかは英語セッションということでした。私は、初日の「疾患と時計遺伝子」と「24時間社会のライフスタイル、健康」、二日目の「睡眠と記憶」と「睡眠時の自律神経機能と概日リズム」、三日目の「睡眠時の運動障害」、「過眠症と対策」と「睡眠疫学の発展のために」に出席しました。先にも書きましたとおり、このところ真面目に学会参加していませんので、いずれも興味深く聞かせてもらいました。シンポジストの中に「私は睡眠のことはよくわかりませんが…」とおっしゃる方が少なからずおられましたが、これも幅広い領域からの参加者が増えた結果かと考えると、なかなか意義深いシンポジウムだったのかと思います。ただし、フロアからの質問とシンポジストの答えがしばしばちぐはぐになっておりました。このことの主な要因は、「睡眠の専門家」と「睡眠を知らない専門家」の姿勢と言語の違いにあったようです。  
 ランチョンセミナーなるものは、これまでも参加しておりますのでさほど驚きはしませんでしたが、お弁当の配給を受けるためには長蛇の列を作らなければならないのには、驚きました。初日午前中のシンポジウムに最後まで坐っていたところ、あやうく昼食ぬきになるところでした。内容は、昼食時にふさわしく消化不良を起こさないように配慮されたものでした。

新宿小便横丁での大変有意義なセッション

 今回はこのように驚いたわけですが、学会の後の新宿小便横丁とゴールデン街での大変有意義なセッションの中でアルコールの力も借りて、少し頭を整理することができました。要するに、学会というものは「お互いに学びあう場」から「教えていただく場」に変ってきたのですね。今回の学会は、毎日お弁当をいただきながらわれわれが知っているべき知識を教えていただける、というまことに結構な場でした。来年の学会にも 大いに期待できそうです

佛教大学 漆葉成彦記

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