第6回 大阪睡眠を考える会参加報告

 

 この「大阪睡眠を考える会」も第6回となり、今回のテーマは臨床的にも社会的にも、昨今取り上げられることが多い「眠気」の問題についてであった。特別講演にさきがけて、眠気の診療でおさえておきたいポイントについて渡邉琢也先生よりミニレクチャーを受けた。このレクチャーでは、眠気を考えるときにどうしても単一の眠気の要因を探したり、安易に単一の要因に目を向けたりしてしまいがちであるが、実際には「眠気の原因も訴えも多様」であり、睡眠関連疾患の有無のみならず、睡眠の量、睡眠の質、睡眠・覚醒リズムなどを総合的に把握していく必要性が強調されていた。

 引き続いて行われた谷口充孝先生による症例呈示では、渡邉先生のレクチャーを引き継ぐ形で、眠気の診療の実際について、日中の過度の眠気(EDS)を来す実際の症例を提示しながら、終夜睡眠ポリグラフ検査所見等も加えて解説が加えられた。EDSを来す要因が睡眠時無呼吸症候群の存在だけではなく、「多因子的に引き起こされる」ことが具体的に理解できる内容であった。

 最後の特別講演では、秋田大学の清水徹男先生から「過眠症診断の落とし穴」の題で、講演が行われた。前の2つのレクチャーを包括的にまとめる形で話は進められ、最初に過眠症の代表的な疾患であるナルコレプシーについての解説と症例の呈示がなされた。特に、ナルコレプシーと診断するために必要な検査前の前提条件(他の睡眠関連疾患の存在の有無、睡眠衛生、日頃の睡眠時間統制など)について強調がされていた。しかし、実際にはこのような過眠症の診断及び眠気の評価を行うこと自体が非常に難しい事実について、講演後半では多数の文献を紹介しながら話が進められた。眠気を感じながら入眠がなかなかできない人(Low sleepability)、眠気を感じていないのにすぐに入眠できる人(High sleepability)が存在し、その背景因子は現在のところ明確になっておらず、個体差や個人の認知の問題が存在することが説明された。また、そもそも眠気自体も多様であり、その測定系も主観的な眠気、客観的な眠気を測定するために作成された検査法が多数存在するものの、その測定結果は一定せず、検査間で乖離もしばしば認められることが詳細に解説がなされた。

 今回のレクチャー、症例提示、特別講演全体を通して、眠気の多様性、その測定の難しさがわかりやすく理解できたとともに、現代人の睡眠時間の短さ、生活習慣など、不眠・過眠に密接に関わってくる社会的な問題へ視線を向けることの重要性が認識できる会であったと思われる。

大阪大学保健センター 足立浩祥 記


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