faqよくある質問
睡眠環境
- 明るくて騒がしい部屋でも熟眠できるものでしょうか?寝ていたらそのままで良い?
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一般的には、明るすぎる照度、騒音などは、睡眠の質を確保する上で障害となることが知られています。また、入眠を妨げたり、中途覚醒の原因ともなります。研究結果からは、一般的に照度として30ルクス以上の明るさは目が覚めやすくなるため避けたほうがよいと考えられます。ちなみに1ルクスはホテルでフットライトだけをつけた時のベッドサイドの明るさに相当します。30ルクスは活字が何とか読める程度の明るさと考えていただくとよいでしょう。
本人が自覚的にぐっすり眠れたかどうかが最も重要ですが、適切な照度、静かな部屋で眠ることによって、さらによく眠れるかもしれません。したがって、明るくて騒がしい部屋で眠れているようでも、よりよい睡眠環境で眠るようにしてみることは大切です。 - 枕元にタマネギを置いたら寝つきが良くなると聞いたことがありますが、香りと睡眠は関係があるのでしょうか?
香りの成分の中で、緊張をほぐすことによって、寝つきをよくしたり、途中で目覚める回数を減らす成分(セドロールなど)があることが報告されています。多くの場合、香りが直接睡眠の質に影響を与えるというよりも、アロマセラピーなどで用いられるように、寝床につく前に自分の好みの香りを用いることによって、睡眠前の緊張をほぐし、リラックスさせる結果、二次的に睡眠が良くなると考えられます。
嗜好品
- 徹夜で仕事をするときなど、栄養ドリンクをよく飲みますが、友人に「明日の元気を今日もってきているようなもので、体に無理がかかり、よくない」といわれました。栄養ドリンクを飲むと眠くならないのはなぜですか。また、体に負担がかかるというのは本当ですか?
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栄養ドリンクの中には、カフェインなど、交感神経系を活性化し、覚醒度を高める成分を含むものがあります。このため、コーヒーなどと同様、これらを眠気覚ましに使用する人がいるのも事実です。しかし、ほとんど覚醒度を高める成分が含まれていない商品でも、プラセボ効果によって、目が覚めたと感じる人もいるものと思われます。(プラセボ効果というのは、直接薬理作用のないものによりもたらされる症状や効果のことをいいます。)いずれにしても、よりよい睡眠をとるには、入眠前に興奮を抑え、リラックスして就床することが必要ですが、このような栄養ドリンクを飲むことはまさに逆の効果が現れることになります。
- 晩酌は、夜間の睡眠にとって百害あって一理無しとは、本当ですか?
眠れない時にアルコールを飲んで眠るという対処をしている人が多いようですが、長期に続けると逆に、睡眠障害の原因となってしまうことに注意が必要です。睡眠薬がわりにアルコールを飲用すると、アルコールの中枢抑制効果(脳の活動を静める効果)によって、寝つきやすくなります。しかし、およそ2~3時間でアルコールが代謝されるため、睡眠後半で急に血中濃度が低下することにより途中で目が覚める原因となります。また、アルコールには利尿作用もあるため、尿意で目覚める回数が増えたり、いびきをかきやすくします(「あなたのいびきはどんないびき?」参照)。
また、連用すると身体が慣れてしまって、寝つきを良くする効果も弱まってきます。
結果として、アルコールの量も次第に増えていき、悪循環に陥ってしまいます。
したがって、寝酒によって一見寝つきだけは良くなった印象を持つかもしれませんが、全体の睡眠の質を考えると、結果的には睡眠を悪化させる原因となることを知っておく必要があります。就床時間よりかなり前に適量の晩酌をされることはかまいませんが、睡眠薬代わりの飲酒は避けるべきです。
睡眠時間
- 資格試験の勉強をしています。私は8時間眠らないとどうもぼーっとしてしまうのですが、周囲の人を見ると、睡眠時間5時間ぐらいという人が多いですし、巷の短時間睡眠法などの本を読むと、短い睡眠時間ですむ人がうらやましいです。睡眠時間が何時間必要かは、何で決まるのでしょうか。遺伝ですか。また、努力によって、睡眠時間を短くすることはできますか。
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確かに必要な睡眠時間は個人差があると考えられており、一概に睡眠時間が何時間がよいとはいえません。日本では睡眠時間が短いことが美徳のように扱われることが多いですが、必要な睡眠時間を確保できないことが続くと、慢性の睡眠不足の状態になり、昼間の集中力に問題が出てくることがわかっています。5時間しか睡眠を取っていないという方の必要睡眠時間が5時間とは限らず、実際は休日に長く寝ていたり、昼間に眠気があるのかもしれません。
必要な睡眠時間は、個人差があると考えられており、中には9時間以上の睡眠が必要な長時間睡眠者や5時間以下の睡眠でもやっていける短時間睡眠者も存在すると言われています。努力によって必要な睡眠時間を短くすることは無理ですが、規則正しい時間帯に睡眠に取り、よい睡眠衛生を保つことで、すっきりと目ざめ、昼間も気持ちよく能率が上がる可能性はあります。 - 会社と学校に行っており、物理的に時間がありません。けずれる時間は睡眠時間なので睡眠時間を削っています。でもそうするとつらいです。睡眠時間が短くても体が休まる方法や寝方はないですか。
必要な睡眠時間には個人差があり、短い方も長い方もおられます。必要な睡眠時間をとらないと、慢性に睡眠不足の状態になり、睡眠の借金を背負っていることになります。睡眠時間の貯金はできないといわれ、借金をし続けて、休日に一気に長時間寝ずにはいられない状態になります。睡眠不足の状態では、昼間の集中力に問題がでて、仕事や勉強の能率が落ち、さらに時間がかかり、睡眠時間をさらに削るという悪循環に陥ることになります。物理的に難しい状況であるのは理解できますが、やはり毎日30分でも睡眠時間を延長できる余地がないかを考えてみてください。
- よく芸能人やものすごく多忙なビジネスマンが、夜の睡眠時間は3時間ぐらいだけど、どこでもすぐ眠れるから、電車の中などで30分ぐらい眠る「細切れ睡眠法」で大丈夫!といっていますが、細切れ睡眠で、睡眠をとったことになりますか。
睡眠といっても、一晩の睡眠の中身は一定ではなく、目が活発に動いていて、あざやかな夢をみることが多いレム睡眠と、脳が休んでいるノンレム睡眠とがあります。レム睡眠中は身体中の筋肉がだらんとして、身体を休めていますが、脳の活動度は高く、記憶の定着に関わっているとされています。ノンレム睡眠は、脳の活動レベルにより4段階に分けられ、浅い睡眠(段階1と2)と深い睡眠(段階3と4)に区別されます。人の一晩の睡眠ではこれらの睡眠が一定の順番で出現することがわかっており、図のようにノンレム睡眠とレム睡眠が交互にでてきます。
したがって、ばらばらに睡眠をとって合計が6時間になるのと、続けて6時間眠ることは同じことではありません。もともと睡眠時間が短くてすむ人で、3-4時間睡眠で問題ない方もいますが、大部分の方にはこのような方法は向きません。
睡眠薬
- 寝つきが悪く、睡眠薬を服用しています。でも、のみ続けるとやめられなくなって依存症になってしまうのでしょうか。
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現在、治療のために睡眠薬を飲んでいるのですから、まずは安心して服用することをおすすめします。びくびくしながら薬を飲んだり、心配のあまり治療が充分でないのに服薬をやめてしまったりしては、せっかくのお薬の効果をわざわざ半減させているようなものです。
確かに、睡眠薬に依存性があるのは事実です。主治医に「依存症が心配」と云うことを話して、きちんと説明してもらうことが、安心するためによい薬でしょう。そして、服薬や減薬も、ちゃんと医師と相談して、指示を守ることが大切です。
最近よく使われている睡眠薬は、依存性は少なく、とても安全性の高いものです。身体や脳に蓄積することもありません。「睡眠薬は怖いから、寝酒にしている」と云う人がいますが、眠るためだけなら睡眠薬の方が上等なくらいです。また、飲み慣れて効果が薄れてきて、増量したり、より強い薬にしたりしないと効かなくなる(耐性の形成といいます)ということもありません。
きちんと服薬してしっかり治すことが、結局は早く薬をやめるための早道です。ただし、お酒との併用や、「眠るため」以外の目的で薬を飲むようなことはしないでください。 - いろいろ悩みがあり眠ることができません。医者に睡眠薬を処方してもらっていますが、癖になるのではないかと不安です。睡眠薬との賢い付き合い方を教えてください。
睡眠薬は不眠を改善させる薬ではなく、緊張や不安を減らすことによって脳や身体を眠りやすい状態にする薬です。一般に3週間以上服用すると効果は薄れてしまいます。また、急に中止するとリバウンドが生じて数日間は眠りにくくなります。なお、リバウンドとは、睡眠薬服用前よりも不眠の状態が悪化する現象で、「睡眠薬をのまなくても眠れると思ったのに眠れなかった」とがっかりされる方が多いのですが、これはリバウンドによる不眠が原因であることが多いのです。リバウンドによる不眠を防ぐためには、あまり長期にわたって毎日服用せず、どうしても必要という場合のみ服用するという方法が上手な睡眠薬との付き合い方です。
睡眠薬と異なり即効性はないものの、良い睡眠をと取るための生活習慣全般の見直しも必要です。
ただし、日中にも強い不安感や抑うつ状態があり、精神科的疾患(全般性不安障害、うつ病など)からの一症状として出現している不眠の場合は、比較的長期にわたって睡眠薬を服用が必要となる場合があります。睡眠薬は決して中止できない薬剤ではありませんが、不眠という症状の原因は様々です。睡眠薬の減量などの調整が可能かどうかは個別の対応となりますので医師にご相談ください。- 精神安定剤と睡眠薬はどう違うのですか?
病院でもっともよく処方される睡眠薬は、精神安定剤のうちの抗不安薬(マイナートランキライザー、緩和精神安定剤ともいう)と同じくベンゾジアゼピン系の薬です。ベンゾジアゼピン系薬剤の効果には、抗不安作用、催眠・鎮静作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用などがあり、このうちで抗不安作用が強いものを精神安定剤、催眠鎮静作用が強いものを睡眠薬として使うのです。高齢者などで時に見られるふらつきなどの副作用は、筋弛緩作用によるものです。また、けいれんを押さえるために使うこともあります。
睡眠薬にはこのほかに、古くから使われているバルビツール酸系の薬もありますが、一般の内科医が処方することはほとんどありません。また、ゾピクロン(商品名アモバン)やゾルピデム(商品名マイスリー)と云った、新しい非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が処方されることも増えています。最近処方箋なしに一般の薬局で買える薬として話題になった睡眠薬は、抗ヒスタミン薬で、アレルギーや花粉症の薬として用いられているものと同じです。
時には、病状によっては抗精神病薬(メジャートランキライザー、強力精神安定剤)や抗うつ薬などの一部も、睡眠を改善する目的で処方される場合があります。
睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠時無呼吸症候群が話題になっていますが、呼吸が止まったまま死んでしまうことはあるのですか?
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まず、ないでしょう。医者はなかなか「絶対に」とはいえない職業なので、主治医に尋ねられても、歯切れの悪い返事が返ってくるかもしれませんが。
睡眠中に無呼吸が起こっても、ふつう約1分もすると必ず息苦しさや酸素欠乏のために、気がつかないぐらい短時間の目覚めが起こって呼吸が再開するので、無呼吸が長く続いてそのまま死んでしまうことはまずありません。睡眠時無呼吸症候群の方は、自分では気がついていなくても、多い人では一晩に数百回もそのような短い目覚めによる呼吸再開を繰り返しているのです。
多くの無呼吸はのどの奥で気流が遮断されるタイプの無呼吸ですので、無呼吸の時に胸やおなかを懸命に動かして空気を取り込もうと努力しています(これを呼吸努力と言います)。 こういった呼吸努力や、呼吸再開時の目覚め、酸素欠乏状態、睡眠の分断化といったことは、身体に負担をかけ、眠っているつもりでも、脳や身体はちっとも休まりません。無呼吸だけで、直接すぐ死に結びつくことがなくても、心臓が悪かったり、高血圧などの基礎疾患があれば、無呼吸のためにそれが悪化したり、或いは心筋梗塞や脳梗塞などによる突然死の引き金にならないとも限りません。この意味では、呼吸が止まったまま死ぬことはないにしても、あなどれない病気です。 - 疲れたときにいびきをかいていると言われますが、睡眠時無呼吸症候群でしょうか。
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疲れたときやお酒を飲んだときは、筋肉がゆるんで、いびきや無呼吸が起こりやすくなります。疲れたときに、少しだけいびきをかく程度なら、睡眠時無呼吸症候群の可能性は低いでしょう。
しかし、疲労や飲酒でいびきをかくということは、睡眠中に気道の閉塞が起こりやすい<睡眠時無呼吸症候群の予備軍>の可能性はあります。この先、年をとったり、太ったりして、いずれ睡眠時無呼吸症候群にならないとは言い切れません。また、いびきや無呼吸がさほど目立たなくても、睡眠中の呼吸が不安定になって、いろいろな症状が出てくる場合もあります。充分睡眠時間をとっているにもかかわらず、しょっちゅう居眠りをするとか、疲れがちっともとれないといった症状がある場合や、高血圧や狭心症といった無呼吸で悪化する可能性のある持病がある場合は、検査を受けることも考えてみてください。 - 寝ているときに息が止まっていることがあるといわれます 。自分では体の不調は感じないのですが、すぐに治療をしないといけないでしょうか。
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最近、マスコミなどで睡眠時無呼吸症候群が取り上げられることが増えてから、「睡眠中に息が止まっている」と指摘されたときにこの病気ではないかと心配される人が多くなってきているようです。特に「無呼吸」という名称が、「呼吸をしていない→死ぬ」という連想に結びつき、「怖い病気」と思い込みがちですが、実際には、睡眠時無呼吸症候群(厳密にはのどの奥が閉塞して起こるものが大部分ですので、ここで取り上げているのは閉塞性無呼吸症候群のことです)は、「睡眠中に」「数10秒」「のどの奥が狭まって気流が遮断される現象」が「何度も起こり、そのたびに数秒、目がさめて睡眠の質が悪くなる」ことをその本質としています。「何十分も息が止まりきりになって死んでしまう」病気ではありません。
ポイントは、睡眠中にそういった無呼吸が「何度起こるか」です。睡眠1時間あたりに5回程度なら健康な人でも起こるとされており、偶然、そういう時期に目撃者がおれば、特に問題のない人でも「無呼吸がある」と言われてしまうことがありえます。もし、1時間に5回より多くあったとしても、1時間あたり10回の人と、60回の人とでは全くその重症度が違います。後者の人は、1晩中1分おきに目をさましていることになりますから、睡眠時間を多くとってもその質は悪く、結果として「眠っても眠ってもすっきりしない」「昼間妙に眠気が強い」ということになります。したがって、特に自覚症状がなければ、たとえ無呼吸があっても回数は少ないものと思われ、高血圧や狭心症といった他の病気も全くないのであれば、急いで治療をする必要はないでしょう。ただし、自分では眠くないと思っていても、ご家族や周囲の人から「以前より眠そうにしている」「よく居眠りをしている」と言われる場合は、睡眠障害を専門としている医療機関にご相談されることをおすすめします。 - 睡眠時無呼吸症候群かどうか心配な時、医者や検査に行く前に判断する方法がありますか?
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前の質問と重なりますが、一晩中横についていて、何回無呼吸が起こったかを数えてくれるようなきとくなご家族がおられる方はまずおられないでしょうから(また、そんなことをするとご家族の睡眠状態が悪くなりますから)、まず、どの程度の自覚症状があるかどうかを振り返ってみて下さい。「今までと同じように睡眠をとっているのに、昼間妙に眠い」「知らず知らずのうちに居眠りをしていることがある」「朝起きたときにのどに乾燥感があって痛い」「テレビなど見ていてうとうとしたときに、自分のいびきで目がさめることがある」といった症状があれば、専門施設への受診をおすすめします。こういった症状がはっきりしないが、周囲から「いびきが大きく、途中でいびきが途切れて息が止まっている」ことを指摘されている場合は、一晩の様子をテープに録音(あるいは音つきでビデオ録画)されるのも一法です。一晩を通じて「数十秒の静かな時期→大きいいびきの音→数十秒の静かな時期」が繰り返されるようでしたら、かなり睡眠時無呼吸症候群の疑いが濃くなります。
いびき
- いびきは身体に悪いと雑誌で読みましたが、いびきが大きい方が危険なのでしょうか?
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いびきが大きいからといって必ずしも身体に悪いわけではありません。ただし、いびきが大きい人、聞いていて苦しそうに思えるいびき、いびきが急に止まり、静かになって10秒以上呼吸がとまっていたかと思うと、また大きな呼吸を再開する場合は、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。いびきをかく人全員に問題があるわけではありませんが、大きないびきをかく人で、以前に比べ睡眠時間は同じなのに眠った気がしない、睡眠不足でもないのに日中の眠気が強いという人は、要注意です。
いびきについて、より詳しく知りたい方は「あなたのいびきはどんないびき?」をお読みください。 - いびきをかくので耳鼻科に行くと、手術を勧められました。手術をすれば治りますか?
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「いびき」はよくなるかもしれませんが、少し考えて、主治医の先生としっかり相談してください。いびきをかくということは、睡眠中に気道が狭くなり、空気の通りが悪くなっているということです。睡眠時無呼吸症候群という病名を聞いたことがありますか?いびきは睡眠時無呼吸症候群によく見られるサインの一つの場合があります。或いは、現在は無呼吸がなくても、太ったり、年をとったりすると、単なるいびきから睡眠時無呼吸症候群にまで進んでしまうかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群であっても、手術で治療する場合がありますが、その効果や手術の適応なども、未だ充分に検討されているとはいえないのが現状です。手術をしても、無呼吸の回数が減るだけで、完全になくならなかったり、単なるいびきの治療として手術を受けた後から睡眠時無呼吸症候群を発症したりした場合、手術をしたせいで、現在最も有効とされているCPAP療法と云う治療がうまくできなくなってしまう場合もあります。
まず現在の状態を見極め、今後の見通しを含めて、慎重に検討してください。
こども
- 子供が夜遅くまでTVを見てなかなか寝ません。小学生はどのくらい睡眠時間をとるべきでしょうか?
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必要な睡眠時間には個人差があると考えられており、一概に何時間寝たら良いとは言えません。但し、2003年の福田一彦先生のご研究によると、日本の中学校1年生の平均睡眠時間は約7時間半であり、9時間以上が大半をしめる諸外国と比べるとかなり短いのです(ちなみに最も長いのがスイスの10時間で、日本に次いで短いのが台湾とアメリカ)。しかも別のアンケート調査によると"睡眠時間が足りている"と答える小学校高学年児は3割しかいないことがわかっています(雑誌『子どもと健康』)。このことから考えると、あなたのお子さんは睡眠不足ではないかと疑ってかかるのが妥当でしょうね。例えば、土日祝日は、昼頃になってようやく起き出したりしていませんか?この場合には、間違いなく、お子さんの平日の睡眠時間は不足していますので、できるだけ早く眠るように指導しましょう。余談になりますが、就寝時間の直前までテレビを見る習慣は良くないですよ。テレビは頭を興奮させますが、頭を鎮めた方が眠りに入りやすいのです。
- 子供(1歳11ヶ月)は、パパの帰りを待っているので、大体就寝が午前1時ごろになります。
早く寝かせたほうがよいとは思うのですが、そうしてしまうと、ほとんどパパと触れ合う時間がないし。どうすればよいでしょうか? -
人間の身体には体内時計があって、ホルモンの分泌や体温が周期的に上下するように調節しています。しかし、この体内時計は約25時間周期で、夜更かし等により外界の昼夜の刺激が正しく入らないと、少しずつ地球の24時間周期とずれていって、色々な身体の不調となって現れます。特に子どもの場合には感情制御や認知面での発達に長期的な影響を与えるのではないかと疑われています。ということで、パパ、早く帰って来なさい! パパの顔を見て心から笑ってくれるのは今だけですよ!と言っても答えにならないでしょうから、パパには週末に目一杯スキンシップをしてもらうことにして、平日は、パパの顔を見る事なく、さっさと寝かせるのが良いでしょう。
- 朝起きないこどもは叩きおこすべきでしょうか?
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前問の答と一部重複しますが、人間は明るい昼に目覚めて、暗い夜に眠るべき動物です。そして、光の刺激によって体内時計を地球の時計に合わせているのです。ところが、お子さんの昼夜が完全に逆転している時には、急に、朝叩き起こすと、恐らくその日一日は頭がぼーっとするわ、身体はだるいわ、で何もできないでしょうし、こらえきれずに長い昼寝をすることによって元の木阿弥になるかも知れません。そこで、まず、お子さんが何時に寝て何時に起きているか把握しましょう。次に、お子さんが今起きている時間から1時間早く起こすようにしましょう。そのようにして、ゆっくりと朝起きる時間を早めていって、最終的には、お子さんが決まった時間に起きる様にするのが良いと思います。
- 昼寝は何歳までさせたら良いのでしょうか?
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1999年に草加市で神山潤先生らによって行われた3歳児健診での睡眠に関するアンケート調査では、毎日昼寝する子が33.8%、昼寝を全くしない子が13.4% でした。また、昼寝をしない子供は、昼寝をする子供に比べて、"早寝早起き"であることもわかりました。もし、お子さんが毎日昼寝をするのなら、夜眠る時間が遅く、睡眠不足になっているために昼寝が必要なのかも知れません。シエスタ(昼寝)の習慣のある国もあり、昼寝の習慣は、何歳までにやめなければいけない というものではありませんが、幼稚園や保育園、学校に通う様になると、集団生活に合わせた睡眠習慣をつけることが大事です。眠くてぼんやりしたり、居眠りすることなく快適な生活を送るためには、早寝早起きで十分な睡眠時間を取ることが必要なのです。
- 私が小さいときには、夜は9時までに寝床に入っていましたが、最近のこどもは遅くまで起きています。こどもは何時頃に寝かせるのが良いでしょうか?
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あなたのお子さんは遅寝だけではなく、休みの日に昼まで眠ったりしていませんか?もし、そうならお子さんは睡眠不足です。日本は国際的に見ても、こどもの睡眠時間が短い国で、朝に気分の悪さを訴えたり、朝食を食べられない児童・生徒が多いのが現実です。睡眠時間がどれだけ必要かは個人差がありますが、朝すっきり目覚めて、快適な生活を送れる睡眠時間を得られるような時刻に眠ることが大事です。また、健康的な睡眠習慣を得られるように、小さいうちから習慣づけるということも大切なのです。"寝る子は育つ"という言葉がありますが、事実、こどもが眠っている間にメラトニンや成長ホルモンが分泌されます。メラトニンは体内リズムの調節に関わるホルモンで、この他には朝に光を浴びることもリズムの調節に重要です。成長ホルモンは文字通り、こどものからだの成長に必要なホルモンです。こどもの健やかな発達のためには、早寝早起き、十分な睡眠が大切なのです。なお、詳しいことは、早起きサイトのHPをご覧下さい。
夜尿
- 子どものおねしょが治りません。どうすれば治りますか?何か悪い病気ではないでしょうか?
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子どもさんの年齢が分からないのですが、おねしょは年齢とともに自然になくなることがほとんどです。あまり心配したり、子どもさんを叱りつけたりせずに待ってあげましょう。おねしょのみであれば悪い病気の可能性は少ないので、その他に睡眠中に苦しそうな呼吸をしているといった症状(「ドリーミーのスイミン物語」をご覧下さい)がなければ心配はさほどいりません。
小学校の高学年になると林間学校や修学旅行もあり、子どもさん自身も心配になってきます。ご家庭でもできることからおねしょ対策に取り組んでみましょう。眠る前にたくさん水分をとるのは控え、トイレを済ませましょう。ただし、昼間からそれほど水分を控えたり、おしっこを我慢したりする必要はありません。寝る時間が遅かったり、睡眠不足など生活習慣が乱れていれば直しましょう。おねしょをするとアラームが鳴り、そのときに起きることを繰り返すことによって、いつの間にかおねしょがなくなるようにする機器が市販されています。この方法は欧米では評価が高く、数ヶ月の間、試してみるとおねしょの回数は減ってきます。それでもおねしょの回数があまり変わらないようであれば、夜尿症(おねしょ)の専門医のいる医療機関でご相談してみてください。 - おねしょをする子は夜間起こしても良いですか?
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おねしょをする子どもさんのご両親へのアドバイスとして「起こさず、あせらず、怒らず」がよく言われます。これは、深い睡眠が安定して出現する時期に成長ホルモンや尿を減らすホルモンがたくさん分泌されるので、中途で起こすとこうしたホルモンの分泌が減っておねしょがかえって悪化したり、成長が障害されないかという心配があるためです。しかし、本当に起こしたらこういったホルモンの分泌が減るのかどうかははっきりしていません。ご両親も眠いのをがまんして、深夜に子どもさんを起こしてトイレに行かせても、また、眠ってからおねしょをする場合もあるでしょう。そんなときは、がっかりしたり、子どもさんに怒りたくなります。起こすことを試されても良いのですが、子どもさんのおねしょを治そうと必死にならず、「あせらず、怒らず」してください。
昼寝
- 不眠がちで日中も眠いのですが、昼寝をしたほうがいいのでしょうか。
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不眠がちな生活が続いているとしたら、日中に眠くなるのは当然です。不眠の原因をよく考えて、夜間の睡眠を良好にすることが先決でしょう。一過性の不眠により日中眠くて困るときは、短時間(30分以内)の昼寝(仮眠)が有効(あるいは必要)な場合もあるでしょうが、あくまでも応急処置と考えて下さい。
長距離ドライブで眠気を感じたときは、無理して運転を続けるよりは短時間の仮眠を取るべきです。これも応急処置であって、本来は事前に十分な睡眠をとり無理のない計画でドライブすることが重要です。 - 夜なかなか眠れませんが、昼寝はできます。夜眠れない分を、1-2時間ぐらいの昼寝で補充しているつもりなのですが、何か問題があるでしょうか。
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夜なかなか眠れない原因は何でしょうか?不眠の原因を解消することが先決です。夜間の睡眠が良好でもお昼の2時前後には生理的に眠くなります。生理的な眠気は15-30分の昼寝で解消されるものなので、1-2時間ぐらいの昼寝が必要な状態は夜間の睡眠が足りていない証拠になります。また、1時間以上の昼寝は、夜になかなか眠れない原因にもなりますので、夜間不眠→長時間の昼寝→夜間不眠という悪循環を生んでいるかもしれません。
入眠
中途覚醒
- 夜中に何度も目が覚めますが、病気でしょうか。
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夜中に目が覚めることを中途覚醒といいます。一晩の睡眠の前半は深い睡眠が多く、後半は浅くなります。よって朝方にうとうとして何度か目が覚めたとしても、起床時に気分が晴れないとか、日中に眠くて日常生活を送るのにも困るとかいったことがなければ、あまり問題にする必要はありません。必要以上に早く就床することが中途覚醒の原因の場合もありますし、飲酒が中途覚醒の原因になることもあります。中途覚醒の原因がトイレに何度も行く(夜間頻尿)せいなら、その原因に対処しなければなりません。いびきが大きいようなら睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。朝、起きようと思っている時刻よりも早く目が覚めてしまい、気分がうっとおしく、再入眠出来ない状態が続くようなら、うつ病の可能性がありますので専門医に相談すべきでしょう。
不眠
- 「不眠症」になれば、病院に行くべきですか?
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「眠れない(不眠)」というのは多くの場合、症状であって「不眠症」という特別の病気が存在するわけではありません。病気だと思うことで不眠という症状を増悪させることもありますので、あまりこだわらない方が良い場合もあります。しかし、心身や人生の不調の注意信号である場合もありますので、日常生活への影響が強いときは早めに対処すべきです。
「不眠」という症状の原因は多様で、複数の原因が重なっていることも多く、病院に行く前に、自分で解決できる問題がないかを検討することが大事です。自分で解決できない場合は気軽に専門医に相談すべきですが、その原因を探ることなく安易に睡眠導入薬を処方する医師に対しては疑問を呈するべきでしょう。不眠の原因としては、「不規則な生活習慣」「悪い睡眠環境(不適切な明るさ・騒音・温度・湿度・寝具など)」「カフェイン(コーヒー・お茶・チョコレートなど)の取りすぎ」「慢性的な飲酒」「不安や心配事」などの自分でもある程度対処可能なもの、「夜間の頻尿や痛み」「何らかの疾患の治療薬の影響」といった他の病気に関係するものなどがあります。睡眠に直接関連する病気としてレストレスレッグズ症候群や睡眠時無呼吸症候群に注意が必要です。治療としては非薬物療法(睡眠衛生の改善など)、薬物療法(睡眠導入薬・精神安定剤・抗うつ薬の服用など)、他の病気の治療、睡眠に直接関連する病気の治療など、原因に従って違ってきますが、どういう原因であっても良い睡眠衛生(よく眠り、さっぱりと目覚めるための生活習慣上の工夫)を保つことが大切です。
老化
- 年をとってきたら、ものすごく朝早く目が覚めるようになるのはなぜですか。
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人間には体内時計があり、ホルモンの分泌や体温がほぼ1日の周期で上下するように調節されていますが、この働きが年齢とともに少し鈍ってきて、全体的に早目になる(地球の24時間に対して前に進む)ことがわかっています。また光や社会的な接触・運動や食事などといった地球の時間を知らせてくれる周囲の環境により、このリズムは影響をうけます。これらの外的刺激が年をとると少なくなることも、リズムが狂うひとつの原因といわれています。
- 年とともに、睡眠があまり必要でなくなったような気がします。昔は12時間ぶっつづけで眠ることもありましたが、今はどんなに時間があっても7時間で目がさめます。睡眠と年齢に関係はあるのでしょうか。
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人の睡眠のパターンは、年齢によって変化します。例えば赤ちゃんは1日の大部分を眠って過ごしており、あまり昼夜の区別もありません。これが、脳の発達と社会的な必要に迫られて、夜に固めて睡眠をとるようになるのです。
さらに加齢とともに睡眠は変化します。具体的には、深いノンレム睡眠やレム睡眠が減り、睡眠の途中で目が覚める回数も増え、あまり長く続けて眠れないことがわかっています。
このように加齢により睡眠の質は悪くなりますが、対策としては規則正しい食事時間と睡眠スケジュール、軽い毎日の運動、朝に太陽の光を浴びて体内時計に信号を送る、日中規則的に軽い運動をする(散歩など)、寝る前には脳を興奮させるような作業(コンピューター操作や怖いテレビ番組をみる)を避ける、お茶・コーヒーやタバコなどを就寝前にはとらない、といったことを実行してみて下さい。
女性
- 生理前(あるいは排卵期)に眠くてたまりません。女性の生理リズムと睡眠に関係はありますか?
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女性の生理リズムに関連して、強い眠気を伴う過眠症状が出現する場合や、不眠をきたす人がいることが知られています。特に、多くの女性が黄体期において強い日中の眠気を経験するようです。なお、黄体期とは、排卵後から生理が始まるまでの時期にあたります。黄体期に眠くなる機序として、黄体期の夜間睡眠の質の低下、黄体ホルモンの催眠作用、あるいはメラトニン分泌の変化の影響など、いくつかのメカニズムがその原因として考えられていますが、一定した見解は未だ得られていません。いずれにしても、月経周期に伴う体内のホルモンバランスの変化が睡眠に影響を及ぼしているものと思われます。
言い伝え
- 「まくらが変わると眠れない」というのは、ほんとうにあるのでしょうか?
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人間では、発達した重い脳を2本の足で支える必要性から、背骨から首にかけてS字のカーブを描き、体重を前後に分散させるようになっています。まくらの役割は、この首から背骨にかけての自然なS字形を眠っているときにも保つことにあります。体に合わないまくらを使っていると眠りが浅くなり、肩こりなどの原因にもなります。
まくらの合わない第一の原因は一般的に高さであることが多く、特に高すぎるまくらは、首の下に隙間ができ、あごが引けた状態になるので、肩や首の筋肉へ負担がかかり、頭痛・肩こり・いびき等の原因になります。逆に低すぎる枕では頚椎(くびの骨)を支えられないので負担がかかり、寝違えや肩こりを引き起こす原因となります。また、硬さや触感もまくらが合わない原因となることがありますが、硬さや肌触りは、ひとそれぞれ好みがあるので、基本的には個々人が気に入った素材のものを選ぶことが大切です。
このような点から考えると、「まくらが変わると眠れない」というのは、個々人の好みを含む心理的な側面と、体型などにまくらが合わないといった形態学上の問題がからみあっているものと考えられます。 - 90分の倍数眠るとすっきり目覚めるというのは本当ですか?
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短時間睡眠法などの本には、ノンレム睡眠とレム睡眠からなる睡眠の1つの周期が90分であることを理由に、こういった睡眠法が紹介されていることがあるようですが、90分の倍数で眠っても必ずしもすっきり目覚めるわけではありません。確かに睡眠には周期があり、一晩には90分程度の周期の睡眠が3-5回繰り返されますが、90分の周期はそれほど厳密ではなく、80分になったり100分になったりします。このため、90分周期で目覚ましをかけても周期の途中で起こされてしまうことがあります。90分の倍数眠って起きる方法よりは、毎日、睡眠時間を十分にとり、同じ時刻に眠り、同じ時刻に起きる習慣をつけた方がすっきりと目覚められます。
眠気
- 10時間ぐらい眠っても、まだ眠たいのですが、病気でしょうか?
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必要な睡眠時間は個人により異なります。ですから、あなたの必要な睡眠時間が10時間以上の可能性もあるかもしれません。この場合は、病気ではなく長時間睡眠者ということになります。しかし以前はもっと短い睡眠時間でも眠気がなかったとすれば、睡眠の質を悪くする原因がないかチェックしてみましょう。
睡眠の質が悪い結果、昼間眠くなる病気として、睡眠時無呼吸症候群があります。あなたはいびきをかきませんか?もし最近肥満気味でいびきをかき、一緒に寝ておられる方から、眠っている間に呼吸が止まって苦しそうということを指摘されていれば、睡眠時無呼吸症候群のために、睡眠が分断されて、寝ても寝ても眠いのかもしれません。痩せていても、下あごが小さい場合や扁桃腺が大きければこの病気の可能性があります。また他に睡眠中に主に足がグイッと動くせいで、何度も目がさめ、睡眠の質が悪くなる周期性四肢運動異常症という病気もあります。その他飲酒で眠るくせがついていると睡眠の質が悪くなりますし、カフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶など)を含む飲み物を多くとりすぎても睡眠の質は悪くなります。
夜の睡眠の質とは無関係に、昼間眠くなる病気としてナルコレプシーがあります。これは、十分な睡眠時間をとっていても、昼間に眠くなり、通常では眠らないような状況、例えば面と向かって会話をしているときや食事中でも、眠ってしまうという強い眠気の他に、笑ったり、喜んだり、得意げになったときに、身体の一部の筋肉の力が抜ける情動脱力発作が起こるという特徴があります。このような症状に心あたりがある場合、睡眠の専門医のいる医療機関で相談してみましょう。
うつ状態でも眠くてたまらないことが起こりえますので、気分が晴れない、元気が出ない、何をするのもおっくうでやる気がおきないといった症状が続いている場合、精神科で相談してみましょう。 - 昼食後しばらくすると猛烈に眠くなります。眠気撃退法があれば教えてください。
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人間の身体には体内時計があり、ホルモンの分泌や体温を周期的に変化するように調節しています。人間は、約24時間周期にセットされたサーカディアンリズム(概日リズム)というリズムを生まれながらに持っており、このリズムは光などの調節をうけて、1日24時間の地球の周期にあわせています。さらに約半日を周期とするリズムも持っており、この影響で昼食後に眠気が出てくるといわれています。つまり食事をとったからではなく、元来のリズムのためにこの時間帯に眠気が強くなるのです。自然のリズムから来るものなので、撃退はできません。しかし、この時間帯に仮眠をとる(20-30分)と、午後の仕事や勉強の集中力が上るという実験結果が出ていますので、この眠気を利用して短時間の仮眠をとるという方法があります。またコーヒーなどのカフェインをとる習慣のある人は、この仮眠の直前に飲んで、起きる頃にカフェインの覚醒効果が出現するようにするのも一つの方法です。
ただしふだんから夜の睡眠時間が不足している人は、仮眠を20-30分で切りあげられなくなりますので、あくまでも昼過ぎにのみ眠気を感じる人用の対策です。
目覚め
- 寝起きが辛くて辛くてしかたありません。どうしたらすっきりと目覚めることができるでしょう?
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寝起きの悪さの原因としてはいろいろな要因が考えられます。単なる睡眠不足(自分ではたくさん眠っているつもりでも、本人が本当に必要としている睡眠時間と比べると不足している場合)から、睡眠時無呼吸症候群などの様々な睡眠関連疾患によって、自分では気づかないうちに夜間の睡眠がとぎれとぎれになって質の良い睡眠がとれていないこともあります。また、身体的・精神的な疾患が原因で、睡眠の質が低下する場合があります。あるいは服用している薬剤の中に眠気を引き起こすものがあるので、注意が必要です。
いずれにしても、まずは、自分の睡眠習慣を見直すことからはじめるとよいでしょう。週末やお休みの日の睡眠時間が、ふだんの日よりも2時間以上長い方は、ふだんの日に睡眠時間が不足しているといえます。毎日同じ時刻に就床、起床することができ、かつ寝起きがスムーズとなり日中もちゃんと起きておくことができる睡眠時間がその人にとって必要な睡眠時間の目安です。また、良い睡眠衛生(よく眠り、さっぱりと目覚めるための生活習慣上の工夫)を保つことが最も重要で、一度自分の生活全体を見直してみて下さい。これらのチェックをした上で実行しても寝起きが悪く、熟眠感が得られなければ、一度専門医を受診し、睡眠関連疾患の有無などを含め相談してみるとよいでしょう。 - 早朝覚醒って、何時ぐらいに目がさめることを言うのですか?
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「××時に目が覚めたら早朝覚醒」ということではありません。ひとつの目安として、いつも目が覚めていた時刻よりも30分以上早く目がさめて眠れないようなら早朝覚醒ということになります。しかし、およそ6時間30分以上の睡眠時間をとっていれば早朝覚醒とは言わず、就寝時刻が早すぎることが問題です。たとえば、午前5時に目がさめてしまうと言っても、午後9時に眠っていれば8時間眠っているので早朝覚醒とは呼びません。
- 試験や大事な仕事の前に、どうしても眠りが浅くなってしまいます。(ひどい時は、10分おきに目が覚めたりしていました・・・。)緊張感がある時でも、ぐっすり眠れるようにするための方法、何かあれば教えてください!
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試験や大事な仕事があると緊張や不安で眠れなくなります。この緊張や不安は眠ることへの大敵で、普段はよく眠れる人でも眠れなくなってしまいます(コラム 眠って元気に 「からだの緊張・脳の興奮・こころの不安」を参照)。ぐっすり眠るには何よりもリラックスすることが大切なのですが、こんな時にリラックスするのは難しいのが当たり前です。
やれるだけのことはやったと気持ちを切り替えるようにしましょう。また、「明日に備えて早く眠ろう。」と普段よりも早めに寝ても余計に眠れなくなりがちですので、いつもと同じ時刻に寝床に入るようにしましょう。でも、たとえあまり眠れなくてもそれほど神経質になる必要はありません。1晩ぐらいの寝不足であっても、いつもきちんと眠っておられるなら、あなたが思っているほど試験や大事な仕事に影響はしないのです。
寝相
- とても寝相が悪いのですが、治る方法はありませんか?
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こどもさんの場合、寝相が悪いというのはあまり珍しいことではありません。成長につれて、寝相が良くなっていくことがほとんどです。あなたの眠る環境はどうでしょうか?騒音に悩まされてはいませんか?寝具は快適ですか?眠る環境に問題があり、しっかり眠れないために寝返りが増えたりしているのかも知れません。寝ぼけて動いたりすることはありませんか?こどもでは、寝ぼけて寝具の上で動き回ったりすることがあります。寝相が悪い場合、単に寝相が悪い場合と、何らかの睡眠に関わる病気のために寝相が悪くなる場合があります。昼間に居眠りしてしまったり、常に眠い などの眠気の症状はありませんか? または、足がむずむずして眠りにくい(「日本語版 RLSと生活していくためには」をご覧下さい)ということはありませんか? 眠っている間に息を止めたり、いびきをかいたりしていませんか?(「スリーピーのスイミン物語」をご覧下さい) もし、これらの症状がある場合、病気のために寝相が悪くなっているのかも知れないので、睡眠専門医に相談された方が良いでしょう。寝相を治す というのは難しいことですが、しっかり眠れる様にすることが最も大切ですし、寝ている時に怪我をしないようにする工夫も特にこどもさんでは重要です。
- 寝相があまりにも悪い子供は何か身体に問題があるのでしょうか?
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こどもさんの場合、単に寝相が悪いという場合が多いです。しかし、何らかの身体的な異常があるために、寝相が悪くなる場合もあります。例えば、アトピー性皮膚炎でかゆみのため、鼻炎の鼻づまり、ぜんそくの息苦しさで良く眠れず、寝相が悪くなる場合があります。こどもさんは寝ぼけていることはありませんか? こどもでは眠っている時に寝ぼけて動き回ったりすることがあります。これはほとんど成長につれて治ります。また、睡眠に関係する病気で寝相が悪くなる場合もあります。扁桃腺やアデノイド肥大などが原因で眠っている時に息が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群や、足がむずむずして眠れないレストレスレッグズ症候群という病気が原因の場合もあります。寝相が悪くても身体的な異常はないことが多いのですが、こどもさんの様子を観察して、何か異常を感じる場合は、医師に相談されたら良いでしょう。
夢
リズム
- 僕は、朝4時に寝て、10時におきるのが普通です。ある意味規則正しい生活ですし、特に生活上困っていません。生活のリズムを変える必要はあるのでしょうか?
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どうして「生活のリズムを変える必要があるかも」と思うのでしょうか?それによって、答えは変わってくると思います。次のQ&Aの項目も読んでみてください。たとえば、漁師さんには、夕方に寝て、深夜に起きて漁に出ると云った生活をされている方がたくさんいるでしょう。昼頃に起きて、夕方生徒たちを教え、夜に採点をして明け方に眠るという学習塾の先生もいました。その人たちは、生活リズムを変えようとはあまり思っていないでしょう。もしあなたが、本当に何も困っていないのなら、変える必要はないのではないでしょうか?
ただし、朝4時に寝て10時に起きる、というなら、睡眠時間は約6時間。いまでも平均的な睡眠時間よりは短いくらいです。睡眠不足にも注意してください。 - 遅寝遅起きの生活習慣が身についています。サイクルも安定しているので、いい睡眠を確保できていると思っているのですが、やはり早寝早起きの方がいいのでしょうか?この是非と、その理由があったら教えてください!
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それはやはり、早寝早起きの方がいいでしょう。学校や仕事は8時9時に始まるところが多いですし、夜遅くなると電車もバスも止まってしまいます。明るい電灯がともり、人間が夜も昼も変わらずに活動するといったことは、実はこの100年くらいに急速に起こってきた変化で、世の中は未だ、早寝早起きの人にとって都合よくできているように思われます。
一方、遅寝遅起きの害も、実はよくはわかっていません。前項で述べたように、昔からいろいろな生活サイクルの人がいたことを思えば、体にはそれほど極端な害はないのかもしれません。
しかし、人間は「がんばって起きている」ことは比較的実行しやすいのですが、「がんばって早く起きる」ことは、いくら精神力でやりきろうとしても、体のリズムの上から、難しいのがふつうです。それでも、会社は8時半に始まり、遅刻しないためには朝7時に目覚まし時計で起きて通勤しなければならない方もいるでしょう。ランプやろうそくをつけても、一日のうち半分近くが薄暗かった昔と違って、現代は遅寝遅起きになりやすく、また睡眠不足になりやすくなっているのです。そのために、学校に行くのが辛くなったり、就職や転職の時に可能性が狭められたり、お買い物がしにくくなったり、寝不足で重い頭や体を引きずって過ごさねばならなくなるのはもったいない話です。
こむらがえりなど
- よく金縛りにあいます。疲れている時になるので怖いと思うことはないのですが、金縛りから逃れるために目を覚まそうとして、なかなか覚めなくて、それでますます疲れます。金縛りにあった時すぐに目を覚ませる方法はないですか?
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金縛りは専門用語では「睡眠麻痺」と呼ばれる現象で、睡眠中であるはずなのに、目覚めているような感覚があり、そこで身体を動かそうとしても動かせないという体験として自覚されます。一晩の睡眠を細かく見ると、約90分周期でレム睡眠という質の違った睡眠が出現し、10-30分間持続しますが、金縛りは、レム睡眠の時期に部分的に脳がめざめてくるときや、目覚めの状態から急にレム睡眠に入っていくときに起こります。レム睡眠の時期には、いきいきとした夢を見ていることが多く、それに応じて身体が動き出さないように筋肉の緊張が低下し、四肢が麻痺した状態になっているのですが、金縛りはこのレム睡眠の一部の状態(四肢の麻痺)が目覚める時期に混じって出てくると考えられています。1度でも経験したことのある人を含めると若年成人の30-40%に起こることがわかっており、健康な人でも睡眠不足のとき、徹夜の後など睡眠のリズムが乱れたときに起こりやすくなります。したがって、金縛りにならないように予防することが第一の手で、すぐ目を覚まさせるための良い方法というのは、まだよくわかっていません。金縛りの予防には、昼夜のめりはりをつけた規則的な睡眠時間帯を守る、過労を避ける、睡眠時間を確保することが大切です。「徹夜は禁物」とも言えましょう。